カテゴリ:映画、だいたいドイツ( 41 )

ベルリン映画祭、日本映画6作品+1!

ベルリン映画祭、プログラムが確定しました!
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日本映画からは、6作品(+1?)です〜。

◎橋口亮輔監督の「ぐるりのこと。」

橋口亮輔監督の作品は、
袴田吉彦がけっこう好きだったので「二十才の微熱」を見てファンになり
ベルリンの図書館でオランダ語字幕付きの
(ロッテルダム国際映画祭でグランプリをとったため、
オランダ版だったのだと思われます)
「渚のシンドバッド」ビデオを見て、ますます好きになりました。
(そしてびっくり、浜崎あゆみが出ているんですよね。
観た後で名前を見ててあれっと思ったのですが、全然気がつきませんでした……)
「ハッシュ!」は残念ながら未見なのですが、探してみようと思います。
「ぐるりのこと。」もぜひ見たいですね。
2月7日、キュービックス9でプレミアです。
監督や、主演のリリーさんは来るんでしょうかね〜?

そして、
◎園子温監督の「愛のむきだし」!

それから前作の映画『選挙』がなかなか面白かった
◎想田和弘監督の『精神』。
今回は精神科診療所に通う人にスポットをあてたドキュメンタリーとのこと。
見応えがありそうです。


あと、気になるのは
「ジェネレーション14+」
(子ども向けよりちょっと年齢層の高い人を対象にした映画セレクション。
いわゆる「子ども向け映画」ではないセレクトで、大人も楽しめる映画が多いです。子ども「が」ではなく、子ども「も」楽しめる映画ということなんでしょう)に選ばれた
◎「そらそい」。

最初、ニュースなどでは「ベルリン映画祭に出る日本映画は4本」とあったので
あれっ?と思いましたが
この「そらそい」は日本国内での劇場公開やDVD販売は無いそうなんです。
監督は、
石井克人、三木俊一郎、Yuuuka Ooosumi(あまりに母音が多かったんで、
最初プログラムを見たとき打ち間違いかと思いました……)
ナイスの森、あらためナイスレインボーというユニットの
自主制作長編?らしいです。

予告編は以下のサイトから見る事ができます!

そらそい予告編

ベルリンの寒さの中で、恋しくなりそうな緩さがありそうな映画ですね。
気になります。
上映は2月11日、12日、バビロン・ミッテ
2月14日、シネマックス3にて!

この「ジェネレーション14+」は7人の審査員もまだ学生たちで
賞を受賞すると
金熊/銀熊に対して、ガラスの熊、がトロフィーとして渡されます。
ドイツの子ども達の反応が楽しみです〜!

そして、
◎市井昌秀監督の『無防備』
前の「ビッグ・リバー」は個人的には微妙な感じだったのですが、
谷中好きなので
◎舩橋淳監督の『谷中暮色』も気になっています。

◎短編にも、「16–18–4」という、
東京優駿 (日本ダービー)で撮られたショートフィルムが入っています。
監督は西川智也さんという人で
インスタレーション作品が、ベルリン映画祭で公開されたことがあるそうです。

そして、
+1、は
韓国映画なんですが、よしながふみさんの名作漫画
「西洋骨董洋菓子店〜アンティーク〜」が
食と映画の融合部門である、「Kulinarischen Kino」に招待されているようです!

今年も盛りだくさんで迷ってしまいます……
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by berlinbau7 | 2009-01-29 19:17 | 映画、だいたいドイツ

川喜田かしこさんと、東西ドイツ

19日、
アーセナルでの
「川喜田かしこさんに捧ぐ」のオープニング映画
黒澤明監督の「生きる」
見て来ました。

「いのち短し恋せよおとめ(乙女と書くのかと思っていたら
本当は少女、なんですね)」は知っていましたが、
節付きで最後まで聞いたのは初めてでした!
しかしお役所ってどこも……これはドイツのお役所にも言えるかも。。
(特に、ベルリンの外人局。。)
そして、
すっごく驚いたのは、金子信雄さんです!
最初キャストの所に名前が出ているのを見て、さてはてどこで何の役だったのか?
と思っていたら、息子さんだったんですねえ。
私は、「金子信雄」さんというと「料理番組」のイメージだったので
全然結びつきませんでした。

さて、
オープニングの際には
ドイツ映画史家であり、アーセナルの共同創始者でもあり、
ベルリン映画祭のフォーラム部門を2000年まで率いてきた
グレゴアさんが開会の辞を読んだのですが
その中で、
例えば、ベルリン映画祭で
若手監督や新人の作品を紹介する「フォーラム」部門が始まった時に
現地(日本)で、日本映画を色々見たほうが良いと
川喜田婦人が日本に呼んでくれて、
セレクトされた良い映画をずらり並べて字幕付きで
1日中鑑賞できるように尽力下さった話や、
(!今でもそうらしいです!すごいです!)
川喜田夫妻がドイツ語が堪能で、娘さんもドイツ語を学ぶためにドイツに来た話(しかし、なぜか南ドイツのムルナウに行ったため
飽きてしまい、結局ドイツにはあまり長く滞在されなかったとか)
などが紹介されたのですが、
ある時
「ちょうど、東独大使館から招待されているの。
あなたもドイツ人なのだからいらっしゃいよ!」と誘われたという話が
面白かったです。
「いやー、突然現れた西ドイツ人に、向こうは仰天していましたよ(笑)」
マダム川喜田のおおらかさの一面を紹介するようなエピソードでした。


この
オマージュ・プログラムは、
1月〜2月まで続きます!
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by berlinbau7 | 2008-12-22 03:21 | 映画、だいたいドイツ

川喜多かしこさんに捧ぐ。

金曜日から、
日本映画をよく上映している映画館、“アーセナル”で
日本映画週間が始まります!
「日本映画の母」とも言われているらしい、
(サイトでは、die "Grande Dame" des japanischen Kinosとなっていた)
川喜多かしこさんへのオマージュ。(生きてたら100歳のお誕生日、なのだそう)
カンヌ映画祭でも、生誕100周年があったみたいですね。
ちなみにこちらは、ツィゴイネルワイゼン、で幕開けを迎えたよう。

見たことがあるのは、
ツィゴイネルワイゼン(忘れがたい名作!なんだか妖艶。
レコードの中につぶやきが入っている部分が、すごく耳に残る)
羅生門(中学生くらいの時にテレビで見て異常にインパクトが強かった……)。
今回は、
「生きる」と「満員電車」を見ようと思っています。

「生きる」はよくこの映画館で上映しているんですが、
まだ見たことがありません。
調べてみたら、ベルリン映画祭で賞を受賞したことがあるとか。

日程は、以下のとおり。
黒澤明監督の「生きる」12/19、25日
鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼン」12/20、 29日
山田洋次監督の「幸福の黄色いハンカチ」12/21、26日
黒沢監督の「野良犬」22、30日「羅生門」23、27日
市川崑監督の「満員電車」28、1/1日。

元旦を
「満員電車」で始めるのもよさそうですね!
幸福の黄色いハンカチ、は
ローマ字でKofuku no kiiroi hankachi となってたけど
たしか、しあわせの、と読むんでしたよね。
ラストシーンはあまりに有名ですが、見たことはありません。
藤子・F・不二雄の「エスパー魔美」でこの映画を見た
刑務所帰りの青年が、長く訪ねていなかった田舎の親を訪ねる時
勇気がなくて、物干のところに黄色いハンカチを出しておいてくれ、と言った……
という話があったことを覚えています。

映画館のサイト

Kino Arsenal
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by berlinbau7 | 2008-12-16 19:16 | 映画、だいたいドイツ

Raeuchermaenchen

あっという間に、明日は今年3回目のアドヴェント日曜日です。
次が最後のアドヴェント日曜日で、それから10日も経てば
2008年も終わりを告げます。
今年、特に11月、12月は驚く程に日々が早く過ぎてしまいました。
11月は体調を崩し
ひどい風邪を押しての仕事となりましたが、
良い物になりそうなので楽しみにしています!
記事として出る際には、ここで告知させて頂きますので
乞うご期待!です!
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今週は日本に送るクリスマス&年末年始の贈り物などを買ったり、
ちょっとだけ飾り付けをしてみたりしました。
蚤の市で安く買ったRaeuchermaenchenに火をつけてみたら
もくもくと数秒煙を吐いたあと、
ぱたっと火が消え、後にはお焦げの香りが……
どうやら、欠陥商品のよう……どうりで安かった。
見た目が可愛いし、
普段から火をつけるわけじゃなし、
まあ良しとしましょうか。

友だちから手作りのクリスマス・クッキーも頂きました。
もともとお料理&お菓子作り大好きの友だちは、
8種類ものクッキーをオリジナルレシピで作ってくれたのですが、
どれも!!!特筆ものの美味しさでした。
中でも、自分でビオのオレンジの皮から作ったオレンジピールと胡椒を使った
大人の味のキャンディは圧巻!
ほろにがいキャラメル味とオレンジの苦み、バラ胡椒(ローズペッパー)のピリ辛が
濃厚な甘さにぴったりでした。
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by berlinbau7 | 2008-12-13 22:05 | 映画、だいたいドイツ

「Sportsfreund Loetzsch」

昨日、久しぶりに映画を見てきました。
「Sportsfreund Loetzsch」。
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自転車競技選手として頭角を現し、世界のトップになれたかもしれないのに
旧東独政府にその選手生命を奪われた
ヴォルフガング・レッチュのドキュメンタリー。

映画は、選手達がずらりと並び自転車を走らせている様子から始まります。
場面が変わり、レッチュが「あそこに居たんだ」と刑務所を指差す後ろ姿。

1952年、ケムニッツ生まれの
ヴォルフガング・レッチュ(Wolfgang Loetzsch)。
自転車を走らせることだけに生き甲斐を感じ、走らなければ生きられない、と
まで言う彼は、若い頃から様々なレースに優勝し
オリンピック出場を嘱望されていました。

1970年。
数々のタイトルを獲得し、自転車競技選手として輝いていた18歳の
レッチュは、政党に属することを拒否します。
「彼は政治に興味が無かっただけ。ナイーブだったんだ」と、当時のコーチ。
政治に興味が無かったから、政党に入らない。
彼の足をマッサージし、つきっきりでいた親たちも、
彼には走ることに専念させたいと考えていたようです。
しかし、それが大きな間違いでした。
それ以降、シュタージに目を付けられた彼の「調書」が
ナレーションとして挿入されます。

曰く
「1964年に西ドイツに逃げた従兄弟がいる」
「祝日に国旗を出さない」
「車の手入れをする時に西ベルリンのラジオを大音量で流している。
道行く子ども達にもその音が聞こえる程の音量だ」

コーチ達にも、情報提供者になるようにシュタージからの手が延び
レッチュは四面楚歌の状態に陥ります。
オリンピックにも選ばれず、苦汁を飲むことに。
しかし、彼は勝ち続けることだけが道を開くと信じて
ひたすら鍛え、走り続けました。
しかし、どうにもならない。援助は打ち切られ、走ることすらも難しい。
思いあまった彼は、西側の新聞に働きかけて
自分について記事を書いてもらおうと画策。
南ドイツ新聞に記事が掲載はされたのですが、
その記事は、西ドイツ政府を動かし、東独に働きかける程には大きい反響はなく
逆に東独政府からの締め付けだけが、大きくなってしまったのです。

1976年。
「国を中傷」したかどで10か月刑務所に。
朝から晩までトレーニングを欠かさず続けていた人間にとって
体を動かすことができない生活は厳しい物でした。
出来る限りのトレーニングを続けた彼は、
なんと刑務所を出た後に出場したレースで、
2、3位に大きく差をつけて優勝したのです。
しかし、東独政府はこの事実を隠蔽し、彼にメダルを与えず
2、3位の人間を壇上にのぼらせて1位を与えようとしました。
目の前でレッチュの走りを見ていた選手の1人は、代わりの1位になることを拒否し
その「罪」により、やはり選手生命を奪われました。

「8冊もある分厚い調書を見たとき、同じ選手仲間はもちろん、
親友も情報提供者として名前があった。まあ、ショックでしたよ」
どちらかというと感情を激しく表さないレッチュは、肩を怒らせるでもなく
ぽつりぽつりと言葉を発します。
「壁が開いた時に、ホーフまで260km走って西の100マルクをもらってきた。
(Begruessungsgeldといって、東の人が西側からもらうことができたお金)
こんなフェンスー壁ーが、私の人生をめちゃくちゃにした」

壁が崩壊したのはレッチュが36歳の時。
これから新たな選手人生を送るには、遅すぎたのです。
レッチュは今、
「ミルラム」の自転車チームでテクニカルスタッフを務めています。


壁が崩壊してから、20年近くが経とうとしています。
私にとっては当時、「世界史が変わった」という漠然とした認識だけで
壁が崩壊したこと、その意味を実感するのは難しいことで
実際にそこに住んだこともない人間が、世界や国を否定することはできないと思っています。
しかし、シュタージの存在、
人を虐げてその国に居させなければ国が成り立たないという状態はやはりおかしいなと。
この映画は、監督の言葉もなく
レッチュのように淡々と、起こった事実を追い、コメントを流しています。
当時のシュタージの人も出てきますが、
彼は全くシュタージのあり方に異を唱えるつもりは無さそう。
「しょうがなかったんだよ」
でも、
しょうがなかった、で人生の意義を消されてしまった人は
どうしたら良いのでしょうか。
ミルラムチームの若造に顎で使われるレッチュ。
もしかしたら、彼の目標となるような金メダリストになっていたかもしれないのに……。苦いです。


先日、ニュースで
旧東独地区のギムナジウムの学生(16〜17歳)は
誰が壁を作ったかも知らないと話題になりました。
55%のブランデンブルク州の学生が
「シュタージは、どこの国家も持っている普通の諜報部だった」
と答えています。
旧東独に死刑があったことも2割の生徒は知らなかったそう。
私の歴史の知識もボロボロなので、彼らを笑うことはできませんが
「レッチュ」の映画を学校で上映したほうがいいかも。

バビロン・ミッテで来週の水曜日まで上映しているようです。
ザクセン訛りが聞き取りにくいですが、英語字幕もついてます。
旧東独に興味がある方には、力いっぱい一杯お勧めしたい映画。

日本でも上映されると良いな。
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by berlinbau7 | 2008-07-29 17:13 | 映画、だいたいドイツ

“靖国”上映中止!?

ベルリン映画祭で上映された映画“靖国”
靖国
が、日本での公開直前に上映中止が決定したそうです!
映画ニュースなどで報道がありました。
記者会見などで、詳しい経緯を説明するようです。
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by berlinbau7 | 2008-04-01 15:03 | 映画、だいたいドイツ

『Die Faelscher(ヒトラーの偽札)』、外国語映画賞を受賞

昨年のベルリン映画祭で見た
『Die Faelscher(邦題は、『ヒトラーの偽札』)』が、アカデミー賞の外国語映画賞に選ばれました!私が見た感想(といってもあまり書いてませんが……)はこちら→『Die Faelscher』

前回の『Das Leben der Anderen(邦題は、『善き人のためのソナタ』)』に引き続きのドイツ映画の受賞で、ドイツのメディアは湧いています。
しかし、その反面『ああ、またかー』
『結局、こういう映画が選ばれるんだよね』という反応です。
もともと、この映画がノミネートされた時から、外国語映画賞の選出の視点が偏っているという指摘がありました。選ばれるべき映画が、選ばれていないという、映画評論家の意見などが新聞に載ったりして。
アカデミー賞の裏側など、私はわかりませんが、個人的には面白くなかったので、へーそうかーという感じ。

でもこれを機会に、日本でもドイツ映画の上映が増えて、ドイツ映画が盛り上がると良いなあと思っています。
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by berlinbau7 | 2008-02-25 16:46 | 映画、だいたいドイツ

2008年の受賞者は……。。

怒濤のベルリン映画祭が、いよいよ終わりを告げます。
本日、日曜日はベルリナーレ・キノターク(映画の日)
ここのチケットは早めに販売が始まり、受賞作品などが放映される日でもあります。

さて、
今年のベルリン映画祭、受賞者は以下の通りです。
金熊賞、ベスト映画賞は
ジョゼ・パジーリャ監督 の『Tropa De Elite』でした!
コンペ作品の中でも、気になる、と書いたのに観に行かなかったのは
実は、某サイトで全部を見ることができたからです……。
もちろん映画館で見ると、また違うのでしょうけれども……。
公式サイトはココです。

銀熊賞/審査員賞は
エロール・モリス監督の『Standard Operating Procedure 』に。
監督賞は、
『There Will Be Blood』のポール・トーマス・アンダーソン監督に。
女優賞は、
『Happy-Go-Lucky』のサリー・ホーキンスに。
男優賞は、
『Avaze Gonjeshk-ha』のReza Najie に渡されました!

日本映画では、
新人監督賞に、『パーク アンド ラブホテル』の熊坂出監督が選ばれました!!
おめでとうございます〜!
また、若松孝二監督の『実録・連合赤軍』には、フォーラム部門の国際芸術映画評論連盟賞とNETPAC 賞(アジア映画支援の賞)が!おめでとうございます〜!
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これは昨晩、普通の上映でみたのですが、
ドイツ人観客からは『もっと政治的な視点を盛り込むべきだったのでは』というコメントがあったりして、監督はそれに『反省します』と映画の中の自己批判にひっかけて応えて会場が受ける場面も。
映画上映後の質疑応答も興味深かったです。
ただ、
あさま山荘事件も、連合赤軍も、言葉としても情報もある程度知っていても
事件としてリアルなものが無い私にとっては、
監督が撮りたかった気持ちなどはわかって、テーマも興味深いとは思いましたが
何か、今一歩入れないところがありました……。
リンチなどに至るシーンは、私はオウムの事件とかを思い出しました。
ドイツ人観客のコメントでも『セクトみたいだ』と言っていたひともいました。
一緒に行ったドイツ人は
『ああいった状況で、反論するひとが出てこないのは、ドイツでは無いだろうなあ……。あと、何で皆同じかっこうなの(ヘルメットに角棒、タオルまき)』と言っていました。えー、でも、ああいう状況でなくとも、例えば学校内のいじめとかを想定してみても、ああいう状況で反論できない感じって、わからないのか?


さて、
昨日見た『Perspektive deutsches Kino』のラストを飾るドキュメンタリー『Drifter 』は『Dialogue en perspective』賞を受賞。
これは、若いドイツとフランスの審査員たちが選ぶ賞です。
監督は、ベルリンの映画学校の生徒で、これが卒業制作だそうですが
とても静かな、しかし力強い映画でした。
詳しくは、また次で……。
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by berlinbau7 | 2008-02-17 18:56 | 映画、だいたいドイツ

『靖国』

李纓 (Li Ying)監督の『靖国』を見てきました。
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この映画は、ドイツの観客からどんな質問が来るか、
またそれに監督がどう答えるのかを聞いてみたかったのでプレス・スクリーニングではなく、通常の上映に足を運びました。日本の人もけっこう来ていました。

日本では4月12日から上映が決まっているということだったので、
内容などには触れなくても良いかと思いますが、
靖国についてのドキュメンタリー映画です。

ベルリン映画祭で毎日配布される、『daily from Berlin』に、
この映画が選ばれたフォーラム部門のディレクター、Ulrich Gregorの話が掲載されていました。
Gregor氏は、リー監督のポジションを、60年代に、カメラをナチ時代の暗い歴史の面へを向けようとした、ドイツの映画監督と比較しています。

映画は、
いまも靖国刀を作り続ける、最後の刀鍛冶、刈谷さんと
8月15日の靖国神社のようす、また小泉元首相(当時首相)のプレス発表などを
たんたんと取っています。
強い作為は感じられず、ただ事実を、そこにいる人を捉えています。

それだからこそ、私には、色々なことがとてもショッキングでした。
私は、この映画を見て初めて、
靖国神社のご神体が、『靖国刀』と言われる刀だということを知りました。
8月15日の靖国神社に、第2次世界大戦中の軍服を来た人たちが
あんなに沢山お参りにくることも、
夜間の神官たちの儀式も、まったく知りませんでした。
また、靖国神社に親族が祭られている人たちが、お願いしても
そこに祭ることを止めてくれないということ、これは漠然と知っていましたが…、
その理由も、知りませんでした。

これはもちろん、私が無知なのだと思うのですけれども、
私にとって、第2次世界大戦が形をなしたのは
ベルリンに来てからでした。
南京大虐殺については、中学の社会科でざっと習い(教科書には写真が載ってました)
当時の先生たちは、学校の行事の前に君が代の歌詞の内容や歴史においての意味を説明し
それが分かった上で、歌う人は歌いなさい、と言いました。
だから、色々なことは情報としては知っていたのです。
しかし、実感としてはなんだかぼんやりしたものでした。
大学で知り合った韓国人の友人たちが、8月、集まってお祝いをしているところに
ばったり出くわして、『何のパーティなの?』と聞いたら
『日本からの解放記念日』と言われたことが、きっかけとなりました。
戦いがあった時、誰かが殺されたら、殺した人がそこにいて。
どちらかが悪いとか、国のためだとか色々な理由や良し悪しうんぬんではなく
犠牲者がいる、もちろん、これは日本側の犠牲者も含め、中国、韓国の側にもいる
彼らにとって、どういう見え方だったのか、
そのことが、リアルに感じられた一瞬だったのです。
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ドイツ人の観客からは、色々な質問が飛びました。
中国人が、こういった映画を撮ることに対しての、日本の反応、
取ろうと思ったきっかけ、
そもそも、靖国刀の刀鍛冶に行きついたきっかけ、
刈谷さんをどうやって出演に口説いたのか、などなど。。
この映画には10年間がかかっているそうです。
やはり、なんども問題があり、カセットを取りあげられたりということもあったようです。
刀鍛冶は、なんども通い、質問をせず、ただ、刀を鍛えていくところを撮っていて
ぽつりぽつりと、彼のほうから口をひらいてくれたそうです。

『小泉首相が、靖国参拝をするということは、
ドイツに置き換えて考えると、アンゲラ・メルケル首相が
ニュルベルク裁判でさばかれた人の墓に行くようなものでしょ?』とはドイツ人の弁。
いやそうなんだけど、いや、そうじゃなくて、そうだけでもなくて、そこが難しいところなんだよ……。

私の言葉は、歯切れが悪くなってしました。
なんで、ドイツ人はこんなにスパスパッと言ってくるんでしょう。
ドイツ人の性格もあるとは思うのですが、戦争責任に対してのドイツの対応から来るも
のでもあるんでしょうか……。
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by berlinbau7 | 2008-02-15 09:10 | 映画、だいたいドイツ

『Kulinarisches Kino』

今回は、
ちょっとベルリン映画祭の本編を離れたお話を。
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『グルメ映画』、『Kulinarisches Kino』と題された、
映画を、食べて、飲んで、見て楽しもうというイベントです。

毎日、夜の7時半から、
ベルリン映画祭会場のポツダム広場からすぐのところにあるミュージアム、
マーティン・グロピウス・バウで『食』に関する映画が上映され、
その後、ミュージアム裏手に特設された、鏡張りのテント小屋で
その映画からインスピレーションを受けて作られた3皿のディナーを楽しんでもらう
というものです。

映画は、例えば、
ルイス・ブニュエルの名作「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」
NYの人気レストラン「Le Cirqueル・サーク」と、オーナーのシリオ・マッチオーニ氏と家族のドキュメント映画『テーブル・イン・ヘブン』
ステファン・ゲイツのヒット本「Cooking in the Danger Zone」の映画化。
ブラジル映画「Estomago」など。

今年の映画祭では、ルイス・ブニュエルのレトロスペクティブが行われていたので
プログラムは微妙に連動しているわけです。
ミシュラン一ツ星のコックたちが、映画のどこら辺をどうやって料理に昇華させているかが見所(食べどころ?)なわけです。

初日、同席したご夫婦は
『昨年、子どもたちが、スペシャルプログラムに行って、とても面白かったと言っていたから、今回は夫婦で、子ども達を寝かせてから来たの。』とおしゃっていました。
映画は『チャーリーとチョコレート工場』で、
チョコレート・フォンデューを楽しんだのだとか。そういうのも良いですね〜!
今年は子ども向けのプログラムは無かったようですが、
そのかわり、ぐっと食の内容や、トークショーのゲストがグレードアップされ、
49ユーロというお値段にみあった、グルメなイベントになっていました。

例えば、
『ブルジョワジーの密かな愉しみ』から
ベルリンの一ツ星レストラン、『クアドリガ』のシェフ、ボビー・ブロイヤー氏が
メニューを作った、オープニングの日には、
スローフードの会長、カルロ・ペトリーニ氏とフェラン・アドリア氏が登場。
もう、カルロ・ペトリーニ氏、最高!
『スローフード』というから、のんびりしたおじさまなのかと思ったら大間違いで
ジェスチャーを交えて、飛ばしていました。
しかも、話す度に、通訳さんに『私の言っていることは、簡単じゃないぞ。ちゃんと伝えているんだろうな、お前!』とすごい顔で耳を澄ましているので、通訳さんもたじたじ。一生懸命通訳しようとするあまり、ペトリーニ氏とジェスチャーまで同じになって
いたのが、笑えました。(自分が同じ立場だったらすごいプレッシャーだと思いますが、他人事だから笑える……)

次の日には、シリオ・マッチオーニ氏が招待されていたのですが、
病気ということで、息子さんが登場。
インタビュワーは、ドイツで有名なTVコック、アルフレッド・ビオレック氏。
前回、桃井かおりさんをインタビューした時は、ゲイシャについての質問を繰り返していましたが、今回はなかなか良く、盛り上がっておりました。

個人的には、もっと、食と映画の関係を深めた話とかをしてもらっても
面白いかなあとは思うのですが、ディナーパーティ&映画として、なかなか楽しめるイベント。大人のカップルが多いのにも、うなづけました。

また、22時からは別の映画が上映されます。
ファスビンダー監督の多くの作品でカメラマンを務め、料理が趣味だいうミヒャエル・バルハウス氏が、イタリアのポレンツォにある食科大学の学生と、トリノにある世界初のスローフード・メガ・スーパーマーケット「イータリー」に潜入したドキュメント映画なども。『食』のいろいろな面に切り込んでいて面白いですね。

来年も機会があれば、ぜひ足を運んでみたいイベントです!
詳細に興味のある方は、ぜひ、3月発売の『料理王国』をご覧頂ければ嬉しいです!
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by berlinbau7 | 2008-02-14 23:44 | 映画、だいたいドイツ