ベルリーナー大絶賛の日本映画『選挙』

今回のベルリン映画祭、
日本映画で大絶賛を受けたのは、
NY在住の想田和弘監督がてがけた、
観察映画
『選挙』です。

川崎市議会補欠選挙で自民党推薦候補となった
山内和彦さんが、選挙運動をするようすに密着したドキュメント。
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『観察映画』と題されているように、この映画は、
台本も大体のストーリー設定などもなく、
ひたすら選挙運動の流れて行く様子を追った映画なのですが、
これが、面白い!
笑えないよ〜とつっこみながらも、笑ってしまう、必死の選挙運動。
居並ぶ『センセイ』たちとの上下関係、
後援会の人たちとの集まり、
幼稚園の運動会から、シニアスポーツ大会にまで足を運んで一緒にラジオ体操、
秋祭りの神輿かつぎまで参加して
名前を浸透させるべく奮闘。

秋祭りで握手をした人には
『電柱にまでおじぎしてるんじゃないのー』なんてつっこまれてましたが
まさにそんな感じ。

山内さんにとっては初めての選挙。
事務所を仕切っている人の『人は3秒しか耳を貸さないから、その3秒の中に必ず名前を入れるように』
というしたり顔のアドヴァイス(でも確かに日本の選挙カーって名前の連呼がメインですよね)や
先輩『センセイ』の『握手はねえ、最後が肝心だよ。目を見てね』
などのアドヴァイスがすごい。

橋本聖子から、荻原健司(彼が政治家になっていたとは知りませんでした)
石原信晃、そして小泉(当時)首相までが応援にかけつけ、応援演説!

でも、小泉さんが応援に来た時、
山内さんは車の同じ高さに乗る事はできないんですね。
ヒエラルキーがあるみたいですね。
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ああ、日本の選挙・・

ドイツの観客は、いろんなシーンで大爆笑。
日本人から見れば、ああ、日本の選挙ってこうだよね、と見てしまうところが
ドイツ人の目からみれば、なんじゃそりゃー!と思わず笑いが漏れてしまうことなのだ。
(私ももちろん大爆笑でしたけれども)

見終わって、
ドイツ人が
『でも、この映画の中で唯一政治的な発言をしてたのは山内さんの奥さんだけだったね』
た、確かに・・・。
山内さんが当選したら何をするか、公約などはすべてはしょられ。
奥さんが、『妻』ではなく『家内』という言い回しで表現されなければならない
と言われたり、仕事を持っている彼女は、仕事を辞めろと言われたり。
実質彼女が家計を支えている(らしい)というのに、いったいどういう了見なのでしょう。
彼女の怒りの発言に
山内さん『まあまあ、大人になって黙って流しててよ』・・でもそうですよね。
後援会の人たちと喧嘩するわけには行きませんよね・・。

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想田監督と山内さんは東大時代の知り合いだとか。
山内さん本人もベルリンに登場。
映画のタイトルをつけたたすきをつけて、会場を出る人に握手と
ダンケシェーン、のパフォーマンス。
これも観客に大受けでした!!

ちゃんと笑える、楽しめる映画に仕立てあげられていますが、
よーく見ると、垣間見える日本社会・・ただ面白いだけの映画ではありません。

ドイツの新聞などでも大きく取り上げられ、
フォーラム部門で一番楽しめる映画、と、その監督の視線と映画の内容も
高く評価されました。

唯一、私が心残りだったのは、
切手コレクターだという山内さんが特別に作ったらしい
この映画のポスターを切手にしたものが、ベルリン映画祭で販売されてたらしいのに
見つけられなかった事。

どこで売ってたんでしょう?
日本ではまだ売っているようなので
興味があるかたはぜひ公式サイトをチェックしてみて下さい!

ちなみに、山内さん、次に出馬はないそうです。


映画館での公開は未定ですが、今年秋、10月頃にZDFとかARTEの合同企画で
放映の予定があるようです。ドイツに居る方はぜひ。
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by berlinbau7 | 2007-02-17 19:04


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